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北陸新幹線ルート問題は小浜・京都案で決着するしかない事情

北陸新幹線の敦賀から大阪間のルートを2016年内に選定するにあたって、案の1つであった舞鶴ルートが選定対象から外されました。
その結果、米原ルートと小浜・京都ルートの2案から選ばれることとなります。

この問題がなかなか解決しない背景には、複雑な事情が絡み合っています。

舞鶴ルートがなぜ対象外となったのか

舞鶴ルートの提案者は、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム検討委員会委員長の京都選挙区選出の参議院議員 西田昌司氏です。

京都選挙区の議員さんの立場もあってか、京都府の発展のために舞鶴から京都間の京都府の骨格となる軸に高速鉄道を通す提案を行ったのです。

京都府は南北に長い地形で、日本海側の京丹後と京都中心部との交通網が貧弱でしたが、まず2015年に京都府の骨格をなす道路として京都縦貫自動車道が開通しました。
ただ北陸と関西を最速に結ぶことが北陸新幹線の目的のため、舞鶴ルートは西へ大きく迂回する事になり、本来の趣旨から離れているために対象外とされてしまったのです。

京都府の京丹後や舞鶴は、かになど観光資源が豊富で、有名な観光地の天橋立もありとてもいいところですが、知名度は低いかもしれません。交通網が発展すればさらに観光客の増加が見込めるため、京都府の骨格をなす高速鉄道は地域発展に貢献するのはよくわかります。
西田さんももしかしたらダメ元での提案だったかもしれませんが、我田引鉄と揶揄されて結果的に印象を悪くしました。京都の問題は北陸新幹線と切り離して議論するべきでした。

東京駅で撮影した北陸新幹線E7系

北陸新幹線E7系

合理的に考えれば米原案が最適だが

現在北陸新幹線が開業している金沢から敦賀方面の特急は、大阪方面へ行く「サンダーバード」の他に「しらさぎ」という名古屋方面の特急もあります。この2つの方向の旅客流動を考え、さらには工事費用も安くなる「米原案」が最適解答なのです。在来線の北陸本線は米原駅が起点です。

地理的条件や財政事情だけを考えれば答えは簡単なのですが、そう簡単にはいかない問題が米原ルートにはあります。

いちばんの問題は、経営主体の問題です。北陸新幹線の金沢から延伸区間の経営は、「JR西日本」です。北陸新幹線を米原へ接続すると、米原から新大阪までは東海道新幹線となり「JR東海」が経営する区間となります。

そのJR東海は、東海道新幹線が過密ダイヤである理由から北陸新幹線の乗り入れを拒否しています。確かに朝晩は3分間隔で「のぞみ」を走らせている時間帯もあります。

しかし仮に北陸新幹線の経営が「JR東海」であったならば、変に難癖つけることなくうまくダイヤ調整して乗り入れさせることでしょう。東京だと東北・上越・北陸の3線も乗り入れているのにうまくいくのは全ての路線をJR東日本が経営しているから実現しているのです。

米原から乗り入れができないとなると、これまで金沢から大阪あるいは名古屋まで直通していたものが、乗り換えすることとなり大幅に利便性が低下します。

そのためにJR西日本単独で大阪まで走行ができる小浜・京都ルートを推奨するに至る訳です。

20年後には事情が変化している可能性もある?

2037年にはリニア中央新幹線の名古屋から新大阪間が当初より8年前倒しで開通予定です。まだ遠い未来の事でわからない点も多いですが、JR東海の米原から新大阪間の運行ダイヤは間違いなく余裕が出てくるでしょう。
それまで待って米原案にすれば?との意見もあるでしょう。しかしあと20年も北陸新幹線延伸を待つことは現実的ではありません。交通インフラはできるだけ早く完成させ、効率よく資産を稼働し利益を上げていく必要があります。
JR西日本は、新大阪から上越妙高間の完全完成を見据えて車両投資を行っていく訳ですから、国はJR西日本の意向を最大限に考慮して、JR西日本が推奨する小浜・京都ルートが選ばれることはほぼ間違いないでしょう。

リニア中央新幹線や北陸新幹線が相次いで開通する新大阪駅はいったいどんな姿になっていくのでしょう。どちらも大深度地下でつなぐとの情報がありますが、建設費などの問題で果たしてそんなにうまくいくのか今後の動向が気になります。

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